Before (改善前)

産業用の板金加工品は従来、上記の写真のような蓋を被せる構造が一般的でした。側面筐体の外周よりも、一回り大きな蓋を被せる構造は、外部からの水や埃や塵の侵入を防止することに長けています。一方で、側面筐体と蓋に段差が必ず発生してしまう構造でもありました。制御盤や通信盤などの内部の制御機器を保護することを目的とした板金筐体としては問題はないのですが、デザイン性を向上させる機器等には見た目から採用しにくい構造となっていました。

V

After (改善後)

デザイン性や安全性(人の肌や衣類のひっかかりが起こり難い)が優れた板金構造として、段差曲げを取り入れた形状設計があります。側面筐体の上部の外周をそこに被せる蓋の外周から一回り小さいサイズに設計し、さらに蓋の外周を側面筐体と同一サイズ(小さくなった上部ではないサイズ)にすることで、蓋を被せた時にも、蓋と側面筐体がツライチにすることができます(写真の様な外観)。この段差曲げ加工を採用することで、設計者はデザイン性の優れた板金筐体を実現することができます。

POINT(要約)

私たちが普段の生活で手に取る民生機器に於いて、部品の組付けの段差や出っ張ったネジの頭はほとんどありません。一方で、産業用機器は部品組付けによる段差や機械カバーを固定する為の出っ張ったネジの頭等は普通に見ることができます。段差曲げ構造は、上記の特徴がある産業用機器を、民生機器に近づけるための設計技法として採用されることが多く、安全性とデザイン性を向上させる板金技法になります。